解説・能楽あんない

恋することは狂うことか？　山中玲子（法政大学能楽研究所教授）

狂言　　墨塗　　茂山千五郎（大蔵流）

＜あらすじ＞
別れ話を切り出され、さめざめと泣く女の涙に大名はオロオロ。ところが涙が突如真っ黒に。顔に水を塗って涙に見せかけているのを見抜かれ、水を墨と取り替えられたのです。恥をかかされて女はカンカン。大名と墨をなすりつけ合う、大乱闘になってしまいます。嘘の涙で男を手玉に取ろうとする企みが、見事に裏目に出てしまいます。

能　　　花筐　　朝倉俊樹（宝生流）

＜あらすじ＞
男大迹(おおあとめ)皇子は皇位継承のため都に向かい、故郷の越前国味真野に残した照日(てるひ)の前に別れを告げる使者を送ります。使者から手紙と花筐(花籠)を受け取った照日の前は、突然の別れの悲しみを抑えられず、自分の里に帰ります。皇子が即位して継体天皇となり、ある日紅葉狩に出かけたところ、狂女に出会います。狂女の持つ花筐から、狂女が照日の前であると気付いた帝は、以前のように仕えてほしいと頼み、一行は都に帰るのでした。

注意事項

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